ロビー・ロバートソンの死、ジョニー・ミッチェルの復活と大物カナダ系アーティストの悲喜交交な話題が示すように、かの国出身のアーティストは世界のポピュラーミュージックシーンに大きな功績を残したきたことに対し異存のある者は居ないだろう。
特に ジャズシーンでは“女性シンガーの宝庫”との称号も与えられている。
そのカナダからの昨今の大成功例が、前作がグラミー賞4部門にノミネートされた女性シンガーソングライター、アリソン・ラッセルではないだろうか?
過去の楽曲も素晴らしい作品が数多あるが、せっかくだ、本年9月リリースの3rdアルバム「ザ・リターナー」から変則的なミッドテンポが非常に心地いい「ラグ・チャイルド」を今回はピックアップ。
名曲「ビコ/ピーター・ガブリエル」を彷彿させる自然に沸き立つ大らかなアフロ感が思考に余裕をあたえ、秀逸な楽曲であるとともに、DJプレイ中には次の展開を思考するのに非常に最適な曲なのでもある。(se)
投稿者: adanendo
2023/11/4(土) 2023希望オータムースペシャル マブリ・ライブ
マブリ24周年記念&Sohmei Endoh作品展クローズド・パーティー
2023/11/4(土) 2023希望オータムースペシャル マブリ・ライブ
出演:マブリ
1st stage/16:00〜
2nd stage/19:00〜
DJ:DJピーナッツ a.k.a. 片岡一史、Sohmei Endoh
ミュージックチャージ:投げ銭(ご飲食代金のみかかります)
マブリ/プロフィール
奄美大島南部の島唄の伝説的唄者、朝崎郁恵のサポートとして出会ったタナカアツシ(ボーカル・三味線・ギター)と奈良大介(ボーカル・ジンベ・三味線)のユニット。“マブリ”とは奄美方言で魂の意。奄美島唄、八月踊り唄などの伝統的なスタイルとポピュラーアレンジの両方で歌い演奏する独自の音楽スタイルで知名度を上げる。関東、関西、奄美群島を中心に、奄美料理店、沖縄料理店でのライブ、奄美関連のイベント、郷友会の会合などでライブ活動を行い、奄美群島を題材にしたり、奄美方言で作詞した軽快なオリジナル曲、カヴァー曲、新民謡を演奏し、観客を巻き込んでの間近で歌って踊れるステージが魅力。
黄昏ミュージックvol.80 City Bird/滝沢洋一
私事で恐縮だが、先日、自身の作品展の打ち上げを、こだま和文(exミュート・ビート)ターンテーブルセットでお馴染みのDJ Yabby氏をゲストDJにむかえ、のんびりと「奥渋/希望」にて開催したのだが、氏のセンス溢れる選曲は当然として、使用レコードのコンディションの良さには驚きが抑えらきれなかった。そんなプレイの終盤にかけたのが、昨今のシティーポップス文脈で見直されたS.S.W.、故滝沢洋一が、ビートたけしに楽曲提供した本作「 City Bird」。
極東の知られざるダンスミュージックとして世界的に見直されたシティーポップスだが、当作は完全にバラードの範疇のBPMで、それとは一線を画すものだが、間奏のクインシー・ジョーンズの仕事でのトゥーツ・シールマンス(クロマチックハーモニカ)を思わせる静寂なる夜の澄んだ空気感は、正調なる都会のサウンドである。
ハイトーンで作者ならではの呟くような滝沢Ver.、精一杯の歌唱でソウルミュージックとして昇華するたけしVer.。秋の夜長、その夜の気分でチョイスするのもまた楽しき一計(se)
黄昏ミュージックvol.79 クレール・ドゥ・リュンヌ/リッチー・モール
こうも猛暑が続くと、音の力も借りないと日常生活にも支障がでる。
過去、その年々でハマった夏の音響があったが、周を廻り、またストリングス系のロングトーン、ツルッとしたモーグの単音やエレピの響きに本年は涼を感じている。
そう、ロニー・リストン・スミスやアジムスなどの“あれ”だ。
中でも如何わしさがナンバー・ワンのリッチー・モール(キダ・タロー氏と同一の髪型)の隠れた名作「ディープ」がこの夏のハードローテである。
ディスコ全盛期、あのリッチーファミリーで莫大な富を得たプロデューサーと云った方が思い出す方々が多い御仁だが、メッカ、フィラデルフィアを拠点にしていただけあり、そのアレンジ能力は当然本物で、本作「クレール・ドゥ・リュンヌ」でも前述マテリアルは勿論、ボコーダー系の潜り込む音色、長々、インストを通したゆえの女性コーラスで〆る構成力、ただただその早すぎたセンスには脱帽だ。
さて、今後ありうる長い残暑も鑑み、本日も「クレール・ドゥ・リュンヌ」から発せられる涼で身体に潤いを与えようか(se)
Sohmei Endoh Exhibition [極東70景:日常 ~アリバイのある場所~]
期間:2023,8/7(Mon.)〜11,4(Sat.)
※好評につき2024.2.3まで会期延長となりました。
観覧時間/月〜金 11:00〜23:00(L.O.22:00)
土 16:00〜24:00(L.O.22:30)
日曜休み
夏季休業 8/14(月)〜8/16(水)
観覧料/ワンオーダーが必要になります。
最新シリーズ[極東70景/日常~アリバイのある場所~]より16点、 [Us&Them]より2点
※全作品初の展示となります。
※期間中、バンコクロケ最新3点、他1点追加展示予定
エンドウソウメイ:プロフィール
静岡県沼津市生まれ。1985年よりイラストレーターを職業とし、木版画を中心に、「ウォーマット横浜」(複数年担当)、「アースデイ東京」などのイベントポスター。ザ・ミーターズ、アート・ネヴィル、ジャコ・パストリアス、ジャニス・ジョップリン、直近では人気急上昇中のカナダの女性ジャズシンガー、ケイティ・ジョージのジャケットなどワールドワイドな媒体にビジュアル提供及びデザイン担当。国内では、音楽専門誌「ミュージックマガジン」、「バットニュース」など音楽と真摯に向き合うマガジンに多数寄稿。ジャケットワークとしては、スーパー・バター・ドック、GOMA & The Jungle Rhythm Section、s-ken+PE’Z(配信用アイコン)、ダージリン(Dr.Kyon&佐橋佳幸)、Jagatara2020などミュージック・ジャンキーの試金石的ドープな音楽性を誇るアーティストのビジュアル及びデザインを担当。90年代からは前述に並行し、ライター、インタビュアーも兼ねるようになり、全編インタビュー書籍に、「いつの日かダブトランペッターと呼ばれるようになった/こだま和文」(企画、装丁画も担当)がある。DJとしての活動も1979年開始とキャリア中一番長く、90年代はレジェンダリーな都内クラブでレジデントとして多数プレイ。現在も「奥渋/バー希望」限定でその活動も継続中。また、ブッツキング・ディレクターとして、多くの音楽ライブ、トークショーの企画制作者の横顔も持つ。
2023/8/19(土)&8/26(土) 2023希望サマースペシャル イノウエオハナ・ライブ
出演:イノウエオハナ+シークレット・ゲスト?
時間:両日とも20:00スタート
8/19(土)
DJ:DJ Ina、Sohmei Endoh
8/26(土)
DJ:Joe west 、Sohmei Endoh
ミュージックチャージ:無料(ご飲食代金のみかかります)
イノウエオハナ/プロフィール
Kathie Inoue/Profile
2008年 Keni Inoue”Guitar Oasis”の全国ツアーに参加。2009年 Kathie & Keni Inoueとして”Aloha Yokohama Festival”に出演。新ユニット”INOUE OHANA”のレコーディングをKeni Inoueと共にハワイ島のSea West Recording Studioでスタートさせる。ハワイ島コナにてKeni Inoueと現地のメンバーと共にライブを行い好評を得る。コナにてKeniと共に飛び入り参加して好評を得る。2010年 ”INOUE OHANA”の新作アイランドレゲエアルバム”Island Blend” をKeni Inoueと共に完成させ発表する。人気DJのGoerge CockleのFM番組”Island Music Serenade”で”INOUE OHANA”の”Island Blend”が全曲かかる。フラ&ハワイアンの大イベント”Aloha Yokohama Festival”に”INOUE OHANA”で出演。オアフ島のホノルルやハワイ島ヒロのラジオステーションに出演。ハワイ島のKAUにできた新しいラジオステーションで”INOUE OHANA”の”Island Blend”が連日オンエアーされる。作詞作曲、歌、ウクレレプレイヤーそして”INOUE OHANA”の中心メンバーとして精力的に音楽活動中。
Keni Inoue/Profile
2001年 沖縄在住でハワイで亡くなった海の幸のメンバー”どんと”の追悼盤 “Rainbow Island”のハワイ&沖縄録音にメンバーとして参加。2005年 妻であり同じ”海の幸”のメンバーであったKathieとユニット”Kathie& Keni Inoue”を結成し、アルバム”Voyage to Paradise”をVivid Soundより発表。7月、フジロックフェスティバルに出演する。2007年 自身ソロ名義2枚目である、ギターインストルメンタルアルバム “Guitar Oasis”を秋に発売する。インターFMのDJ、Vance Kの番組で”Guitar Oasis”がかかる。2008年 “Guitar Oasis”のプロモーションツアーを全国的に行う。2009年 “Aloha Yokohama Festival”に出演。新ユニット”INOUE OHANA”のレコーディングをスタートさせる。ハワイ島コナにて現地のメンバーと共に”INOUE OHANA”でのライブを行い好評を得る。コナにて”Earie Cruz”のライブにKathieと共に飛び入り参加する。個人活動として古くからの友人Mooneyと、ホーギーカーマイケルのトリビュート盤”Horgy’s Back”を制作し発表。2010年 “INOUE OHANA”の新作アイランドレゲエアルバム”Isand Blend”を完成、発表する。日本のメンバーと共に”INOUE OHANA”関東&東北ツアーを行う。人気DJのGoerge CockleのFM番組”Island Music Serenade”で”INOUE OHANA”の”Island Blend”が全曲かかる。フラ&ハワイアンの大イベント”Aloha Yokohama Festival”に”INOUE OHANA”で出演。個人の活動として、ブレバタの岩沢二弓とシンガーソングライター増田俊郎とのユニット”2Uがれ”(ふゆがれ)のライブを東京&湘南で行い好評を得る。“INOUE OHANA”の中心メンバーとして、又いろいろなミュージシャンとのコラボなど精力的に音楽活動中。
黄昏ミュージックvol.78 待ちわびブルース/麻田浩
先日、とある(いろんな意味での)ミュージック・レジェンドと同席させていただいた。
とんでもなく長きに渡るそのタイムラインを自在に引き出し、興味深い話を多数を披露していただいた。
その内容は勿論、他人に向ける目線が実にプレーンな方だと瞬時に理解でき、正に至福の時間だった。
さてこのレジェンド、筆者が初めて知ったのはS.S.W.としてで、意外な媒体からの登場だった。
未だ放映継続中の超長寿番組「みんなのうた」(NHK)1972年6月の歌として、今回セレクトした「待ちわびのブルース」がブラウン管越しに聴こえてきた時にその名を初めて感知した。
小学6年生には実に不思議な楽曲だった。強いて云うなら、2年前に聞いていた、「どうにかなるさ/かまやつひろし」に僅かな類似性を感じた。
それもそのはず、当作は同年リリースのアルバム「ハーヴェスト/ニール・ヤング」にインスパイアされた、早すぎたナッシュビル録音で、ケニー・バトレー(Dr.)の参加は言わずもがな、あの伝説のエリアコード615からも主要メンバーが参加すると云う、当時の日本の音楽状況を軽く超越したとんでもないハイクオリティー作品だったのである。
主人公、麻田浩のアーロン・ネビルよりいち早くアプローチした(?笑)カントリー・ヨーデル唱法も微笑ましく、その後の憂歌団などのゆったりとした日本語アコースティック・ブルースの先駆けとも云える名作。
皆が何気に使う“早すぎる”と云う形容詞はこのことをいうのだ(se)
黄昏ミュージックvol.77 ロング・ドラム・ソング/ザ・サン・オブ・P.M.
特に観光、グルメなどでスペシャルな自身のプライオリティーがある訳でもないのだが、3度目の渡泰(タイ)が急遽決まった。
そんな低い熱量の冒頭筆圧だが、こと音楽に関してはクルアンビン効果もあってか?近年、俗に云う“辺境レア・グルーブ”の一環として古い音源に関してはかなりかの国の音源を探っていた。
中でも一番使用頻度が高いのが今回の主人公、プレーン・タイ・サーコンの最高峰ザ・サン・オブ・P.M.。
私に執っての辺境レア・グルーブの肝は、勿論、そのいなたいリズム隊が占める要素が非常に大きいのだが、スパイスとしてのハイル・メルギア風オルガンサウンド、そして味の方向性を一手に決めるヨナ音階を内包した寺内タケシ風エレキ(ギター)サウンドも合体すれば申し分ない。
今、何気に書き散らかした要素全てが完璧に揃っているのがこの「ロング・ドラム・ソング」なのである(まるで、ドイツのバンドCANがガムランをやってる様なリズムセクション 笑)
興味のある御仁は是非一聴を。
PS:同様な理由でハマっているのが、上記の和製互換、「遺憾に存じます/ハナ肇とクレイジーキャッツ(実質は植木等・寺内タケシとブルージーンズ)」こちらも一聴を。(se)
黄昏ミュージックvol.76 ザ・ホームレス・ワンダラー/エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルー
本年は本当に好きなアーティストたちが多数黄泉に赴いてしまい悲しい限りである。
今回の主人公であるエチオピアのレジェンド女性ピアニスト、エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーも3月26日にこの世を去った。
西洋音楽の権化であるピアノは、異種交配すると重層で複雑な色彩を生み出す。
ラテンの血が入ったキューバ、アフロを経由しジャズになったアメリカなど各地で魅力的な音が沢山生まれたが、このエマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーもまた然りだ。
一言で言えば、エリック・サティーがドクター・ジョンの物真似をしたような、ぎこちなく転がるピアノが不思議な開放感を我々に与えてくれる。
修道女という横顔も持っていたように、いい意味での宗教性もまたもう一つの彼女の魅力でもあった。
リアル・オンリーワンのピアニストよ安らかに。(se)
黄昏ミュージックvol.75 星影のバラード/欧陽菲菲
先日、1シーズンに一回、「奥渋/希望」にDJ参戦して頂いているコモエスタ八重樫氏にお教えいただいた音源を今回は紹介したいと思う。
氏がこの曲をかけた時、俗に云う“歌謡曲”と認識したのだが、曲が進むにつれて不思議な違和感が襲ってきた。
「これ、洋楽では?」と思案しだした瞬間、「これ、元唄レオ・セイヤー」と氏。
よく聴くとレオの80年のヒットチューン「More Than I Can Say」ではないか。
和欧文織り交ぜた川野珠音の訳詞(意訳?)のなせる技か、寸分の狂いもない“歌謡曲”として出来上がっているのだ。
ド頭の欧文が印象深いビックカンバック曲「ラヴ・イズ・オーヴァー」が80年リリースなので、その手口には欧陽菲菲自身が手練れてきた時期であることが、楽曲の完成度を更に高めているのかもしれない。
“洋楽により近く”を指標に推進してきたJ POPがファッション用語で云うところの“ドレスダウン”し始めた先鞭と云ってもいい、隠れた突然変異的名曲なのだ(se)