黄昏ミュージックvol.96  アイ・ノウ・ユー・ラブ・ミー・ノット/ブライアン・オーガー&トリニティfeat.ジュリー・ドリスコール

 LSDに代表されるサイケデリック・カルチャー最盛期の70年代後半、アーシーなオルガニストとして人気を誇ったブライアン・オーガーが自身のバンド、ザ・トリニティー率い、プロキャリア最初期に活動を共にした女性ヴォーカリスト、ジュリー・ドリスコールも引き入れて制作された奇跡のサウンド・プロダクト。
 同時代のビートルズ、ビーチボーイズのコンセプト・アルバムにも勝るとも劣らない洗礼されたアレンジは”史上に輝く“との形容詞も大袈裟ではない程、光輝燦然な輝きを放つ。
 首謀者、ブライアン・オーガーはUKを離れ現在はUS在住で今なお現役。耳から決して離れないオンリーワンな歌声の持ち主ジュリー・ドリスコールはその後のアシッド・ジャズにも影響を与えることになる。
 新年の音の御来光として是非!(se) 

黄昏ミュージックvol.95  S.F.スロウ・イズ・ボーン/プリティ・シングス

 トータルアルバムの金字塔、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」と、ロックオペラの代表作フーの「トミー」に挟まる形で1968年にリリースされ、そのレジェンダリーな2作の両面を備え且つ高度な音楽性が散りばめられた名作プリティ・シングスのアルバム「S.F.スロウ」より主人公S.F.スロウのthemeとも云える冒頭の曲を今回は紹介したいと思う。
 セレクトの切っ掛けとしては、元祖サンプラーと称される鍵盤楽器メロトロンの水面下での復興の動きの中、洗い直した際にこの楽曲が急激に浮上してきたからだ。
 同時期のs.s.w、ドノヴァンを彷彿させるラガロックな立ち上がりから、間奏でのスリリングなリズム包み込むようなメロトロンの帳が立ち現れる。スロウ誕生祝うトランペットの類似音が物語の幕開けを更に声高に告げる。
 しかし、その人の業を巡る物語の先にあるものは?(se)