黄昏ミュージックvol.2 YOAKE NO KEIJI(夜明けの刑事)/ポール・ロジャース

 “黄昏”と言えば“夕方”を指すらしいのだが、あの独特の感触は“夜明け前”にも十分同様の成分が含まれていると私は思うのだ。そこで、今回の黄昏ミュージックは「夜明けの刑事/ポール・ロジャース」とした。
 72年の「太陽にほえろ」で既で成立していた「和製ロック(井上堯之)+刑事ドラマ(萩原健一)」の鉄板方程式に遅れること2年、「星勝+坂上二郎or鈴木ヒロミツ」で放映された刑事ドラマが「夜明けの刑事」。その挿入歌が当時絶大な人気を誇った英国のロックバンド、バット・カンパニーのヴォーカリスト、ポール・ロジャースの「YOAKE NO KEIJI」だった。当初より、番組内での使用のみを条件に書き上げた楽曲ゆえ正式盤は存在しないのだが、ブリティッシュ・トラッドになぞられたアコースティック・サウンドに絡まる陰にこもった日本語のリフレインが、湿度多き黄昏時間へと誘う。(se)

※YOUTUBEにて試聴可能です。

黄昏ミュージックvol.1 スパイダー・アンド・アイ/ブライアン・イーノ

 “黄昏”というニュアンスは洋の西東で随分と違うことだろう。洋楽ばかり聴き続けてきたロック小僧の私が最初にそんな感覚を味わったのは、ブライアン・イーノの1977年のソロ名義では5枚目となるアルバム「ビフォア・アンド・アフター・サイエンス」の最終曲「スパイダー・アンド・アイ」であった。
 しかし、後追いとなったが、その2年前に自身創立のオブスキュア(薄暗い)・レーベルから全編が黄昏感覚の「ディスクリート・ミュージック」がリリースされていたことを知り、やがてそんな気分に浸りたいときはそちらに浮気するようになっていった。(se)