“黄昏”と言えば“夕方”を指すらしいのだが、あの独特の感触は“夜明け前”にも十分同様の成分が含まれていると私は思うのだ。そこで、今回の黄昏ミュージックは「夜明けの刑事/ポール・ロジャース」とした。
72年の「太陽にほえろ」で既で成立していた「和製ロック(井上堯之)+刑事ドラマ(萩原健一)」の鉄板方程式に遅れること2年、「星勝+坂上二郎or鈴木ヒロミツ」で放映された刑事ドラマが「夜明けの刑事」。その挿入歌が当時絶大な人気を誇った英国のロックバンド、バット・カンパニーのヴォーカリスト、ポール・ロジャースの「YOAKE NO KEIJI」だった。当初より、番組内での使用のみを条件に書き上げた楽曲ゆえ正式盤は存在しないのだが、ブリティッシュ・トラッドになぞられたアコースティック・サウンドに絡まる陰にこもった日本語のリフレインが、湿度多き黄昏時間へと誘う。(se)
※YOUTUBEにて試聴可能です。