小林昭写真展『Back On The Highway』

小林昭写真展『Back On The Highway』
2020.7.3(fri)~8.7(fri) OPEN/11:00~24:00

小林昭(Akira Kobayashi)/プロフィール
1940年東京、日暮里に生まれる。
1965年、写真家・島内英佑に師事し、カメラマンの道を歩み始める。
1969年、小学校のころから進駐軍音楽とジャズに傾倒していたアメリカかぶれが高じ、念願のカリフォリニアへ向かう。アメリカではヴェニスビーチをベースに、キャンピングカーでアメリカ中を旅し、「ビートニク」、「放浪」、「音楽」をテーマに、アメリカの実像を追いかける。
1974年に帰国後、広告写真および、『平凡パンチ』、『ブルータス』、『流行通信』などのエディトリアルファッションの仕事をする。1981年にロンドンに移住し、テムズ河畔の倉庫街ウォピンのメトロポリタンワルフにスタジオを開設。『オブザーバー・マガジン』を中心にエディトリアルの仕事と、ロンドン、テムズ河をテーマに創作活動をつづける。
1987年に帰国後、ふたたびファッション雑誌と広告の仕事をする。1969年から4年間過ごした南カリフォルニアのヴェニスビーチでの日々がつねに活動の原点になっていたが、60歳を機に、当時毎日眺めていたサーフィンをはじめる。サーフィン雑誌などの写真と文の執筆活動のほか、写真集・写真展の制作活動などをする。
おもな著書に、写真集『THE GREAT MINI FOREVER』、写真集『SMILE ROCK』、写真集『P.O.P:From Venice West to Malibu 1969-1974』、写真集『SMILE ROCK RIDE』など。

黄昏ミュージックvol.41(番外編) タタカエブリバディ (demo ver.)/ウルフルズ

 自粛という概念をネガティブに捉えずに転換期として捉える人々がいる。
 ビジネスは勿論、表現の場合も同様だ。否、表現者の方がその辺はより大胆であり用意周到かもしれない。
 youtubeで筆者が多く再生をするお笑いコンビの“ジャルジャル”などはその筆頭で、既に“リモーコント”というジャンルを作り上げたと云っても過言ではないと思う。
 さて、ライブはもとより、パーマネントなメンバーが膝突き合わせたレコーディングもままならない音楽業界。その中でも同様の動きがあった。
 リモートでの表現は勿論だが、楽曲の内容も“自粛”というタームと大いに重なる『タタカエブリバディ』デモ音源がそれで、タイムリーな配信に踏み切ったウルフルズには諸手を挙げて賞賛の声を送りたい。
 沈み込んだ気持ちをグイッと持ち上げる自由自在な大阪弁リリック。そして、純ソウルマナーな楽曲から溢れ出るいままであまり着眼されなかった、ギタリスト、トータス松本の歌心溢れるプレイも嬉しい誤算だ。
 因にトータス松本が客演するジャルジャルのリモートコント『ウルフルズに会わされるウルフルズに影響されてる奴』も必見!(se)

黄昏ミュージックvol.40 ばくはつ五郎/ザ・ワンダース

 在宅時間が増えている昨今、ネットの無料動画のラインナップに多少変化が見受けられる。
 何気に1960〜70年代のジュニア世代へ向けた、黎明期のアニメ、特撮、実写が増えている気がするのだ。
 その辺、まさに直撃世代の筆者であるが、流石に全てのあらすじを覚えている訳ではない。
 しかし、こと主題歌となると、歌詞も含め細部まで記憶していることに己のことではあるが驚く次第である。
 さて、そんな動画群を縦断している時に、とある作曲家を思い出すことになる。小林亜星と並び“CM楽曲の帝王”と称された和田昭治である。
 和田は作曲家になる前は、コーラスグループ、デューク・エイセスのセカンド・テナーであり、リーダーとしてもその屋台骨を支えていた。
 その後は、「サントリーレッド」、「トリスビール」、「湖池屋ポテトチップス」等、皆一度は耳にしたことがある楽曲を世に送り出し、NHKの人気音楽番組「ステージ101」の歌唱指導、楽曲提供とともに自身も“ワンツーおじさん”の愛称で出演し人気を博していた。
 今回、黄昏ミュージックとして取り上げる、和田作品は、1970年TBS系列で放送された「ばくはつ五郎」のオープニング主題歌「ばくはつ五郎」である。同作品は「タイガーマスク」の作画で名高い漫画家辻なおきが講談社「ぼくら」に連載していたもののTVアニメ版なのだが、前述したようにあらすじに関しては、“学園もの”というだけで、筆者の記憶からは完全に消失しているが、跳ねるようなストリングスの前奏に絡むドラムフィルに誘われるままに突然飛び出すペラペラに薄いエレキギターとハモンドオルガンのトーンが耳に飛び込めば、一瞬でその虜になってしまうほどモンド感満載の魅惑の楽曲なのである。
 歌唱は和田の秘蔵っ子とも云えるザ・ワンダース。彼等は男性3人組のコーラスグループで、元ザ・タドポールズの栗敏夫、朝紘一に、なんと、元ジミー時田とマウンテンプレイボーイズで、後にレコード大賞歌手となる尾崎紀世彦の3人で構成されていた。
 蛇足だがザ・ワンダースは契約会社のテイチク以外ではジ・エコーズ名義で活動しており、冬木透の手による、あの名作主題歌「ウルトラセブン」を唄ったのも実は彼等であった(se)

黄昏ミュージックvol.39 イン・ザ・ビギニング/ドーン・ギブソン

 寄る年波か?記憶の方が確実に衰えてきた。
 以前、アナログ盤中心でDJをやる時は、盤面にシールなどを貼込み、即座に曲を選別する工夫はしてきたものだが、昨今、デジタル音源で生がけをやることの方が多くなり、楽曲やアーティスト名に自分だけが分かる備考を直接書き込むことで同様の効果を生んでいる。要はタグ付けしている訳だ。
 昨今、ヘヴィーローテの(といってもデビューは2013年)アーティストにドーン・ギブソンがいるのだが、彼の音源に対する筆者のタグは、“カントリー+音響”。ここで云う音響とはシカゴ系等のそれではなく、音深度すなわちダヴィーだったりリバーヴィーな音質を筆者的には指す。
 と言いながらも、普通に、“カントリー+音響”と目にしたら、漠然と、「敬愛するダニエル・ラノワの系譜かな?」などと画一的に思ってしまう自分にいるのだが、ドーン・ギブソンのそれは単にリバーヴィーなだけでなく、影響を受けたアーティスにダブステップ界のアイコン、ブリアルと具体的に挙げる程、コラージュ感覚溢れる楽曲が揃う。
 ドーン・ギブソンは土着と前衛を必用に反復する。彼のそれの創作性は、過去多くある面白さのみを狙ったアンビバレントな音群とは違い、希有なキャリア、元トラックドライバーとして見た日常を身体感覚で紡ぐものであり、魅力溢れる太いバリトンヴォーカル同様、強く生命力溢れるものである(se)