
黄昏ミュージックvol.99 ゲット・トゥゲザー/ディノ・ヴァレンテ

黄昏ミュージックvol.99 ゲット・トゥゲザー/ディノ・ヴァレンテ
日本語ロックの始祖鳥的存在、はっぴいえんど結成のトリガーと云われたザ・ヤングブラッズのオリジナルメンバー、ジェシ・コリン・ヤングが先頃亡くなった。そのトリガーとなった楽曲は彼らの最大のヒットチューン「ゲット・トゥゲザー」で、ご存知のようにカバー曲である。
作者はS.S.W.で、初期クリックシリバーメッセンジャーズのメンバーとしても著名なディノ・ヴァレンテ。(本作は長くお蔵入りしており初音源はキングストン・トリオが1964年に発表したライブ・アルバム『Back in Town』となる)今回は敢えてそのオリジナル音源を取り上げてみたい。
この楽曲はサンフランシスコでのフラワームーブメント隆盛期ゆえに生まれたものだが、実はヤングブラッズはブレークした時点ではニューヨークを拠点とし、プロデュースも生粋のニューヨーカーで、クリームなどのプロデュースで知られるフェリックス・パパラルディの手によるもので、アメリカ東西カルチャーが絶妙に融合することにより成立した奇跡のプロダクトだった。
一方、ドラック絡みの事件を多数起こし、波乱な人生を歩んだディノ・ヴァレンテ・バージョンは、その人生同様に耽美的なもので、ギター一本のシンプルな弾き語りゆえに現代で云うところのアシッドフォークとしての偉才も放っている。
〜みんな、集まれよ 兄弟に微笑むんだ みんなで集まって 今こそお互いを愛そうと試みるんだ〜
リフレインするこのフレーズにサンフランシスコの澄んだ空を思い浮かべるのは筆者だけなのだろうか?(se)