黄昏ミュージックvol.86 春が来たから/RCサクセション
黄昏ミュージックvol.86 春が来たから/RCサクセション
前回の冬季限定に続き、今回は春季限定の選曲使用曲とした。
今では本作収録のアルバム「初期のRC・サクセション」は和製アシッドフォークの名作とカテゴライズされるタイトルであるが、意外にも全曲アレンジを担当した穂口雄右(ex.アウト・キャスト)のワークはRCの3人(当時)には全く不評だったとのことだ。
この当時のレコーディング現場は、例えジャンルがロックやフォークであろうと、アーティストの嗜好とプロダクトに大きな乖離がある場合が非常に多く、実際のところセールスのほとんどを占めていた歌謡曲の制作現場の流れをそのまま踏襲する時代だったのだろう。
フォークからエレキへ後に移行する彼らだが、この時期のRCは、ディランのエレキ化のそれより、ティラノザウルス・レックスからT・REXへの変容、人材及び与算不足による不安定感からくるヨレヨレ度が逆にアシッド風味に拍車をかけていたように思う。
ただ、早熟なデビューであった忌野清志郎のシンガー、コンポーザーとしての質は、この時点ですでに出来上がっていて、それ故のエヴァーグリーンであることも事実なのだ(se)