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黄昏ミュージックvol.78  待ちわびブルース/麻田浩

黄昏ミュージックvol.78  待ちわびブルース/麻田浩

 先日、とある(いろんな意味での)ミュージック・レジェンドと同席させていただいた。
 とんでもなく長きに渡るそのタイムラインを自在に引き出し、興味深い話を多数を披露していただいた。
 その内容は勿論、他人に向ける目線が実にプレーンな方だと瞬時に理解でき、正に至福の時間だった。
 さてこのレジェンド、筆者が初めて知ったのはS.S.W.としてで、意外な媒体からの登場だった。
 未だ放映継続中の超長寿番組「みんなのうた」(NHK)1972年6月の歌として、今回セレクトした「待ちわびのブルース」がブラウン管越しに聴こえてきた時にその名を初めて感知した。
 小学6年生には実に不思議な楽曲だった。強いて云うなら、2年前に聞いていた、「どうにかなるさ/かまやつひろし」に僅かな類似性を感じた。
 それもそのはず、当作は同年リリースのアルバム「ハーヴェスト/ニール・ヤング」にインスパイアされた、早すぎたナッシュビル録音で、ケニー・バトレー(Dr.)の参加は言わずもがな、あの伝説のエリアコード615からも主要メンバーが参加すると云う、当時の日本の音楽状況を軽く超越したとんでもないハイクオリティー作品だったのである。
 主人公、麻田浩のアーロン・ネビルよりいち早くアプローチした(?笑)カントリー・ヨーデル唱法も微笑ましく、その後の憂歌団などのゆったりとした日本語アコースティック・ブルースの先駆けとも云える名作。
 皆が何気に使う“早すぎる”と云う形容詞はこのことをいうのだ(se)