黄昏ミュージックvol.76 ザ・ホームレス・ワンダラー/エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルー
黄昏ミュージックvol.76 ザ・ホームレス・ワンダラー/エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルー
本年は本当に好きなアーティストたちが多数黄泉に赴いてしまい悲しい限りである。
今回の主人公であるエチオピアのレジェンド女性ピアニスト、エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーも3月26日にこの世を去った。
西洋音楽の権化であるピアノは、異種交配すると重層で複雑な色彩を生み出す。
ラテンの血が入ったキューバ、アフロを経由しジャズになったアメリカなど各地で魅力的な音が沢山生まれたが、このエマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーもまた然りだ。
一言で言えば、エリック・サティーがドクター・ジョンの物真似をしたような、ぎこちなく転がるピアノが不思議な開放感を我々に与えてくれる。
修道女という横顔も持っていたように、いい意味での宗教性もまたもう一つの彼女の魅力でもあった。
リアル・オンリーワンのピアニストよ安らかに。(se)