
黄昏ミュージックvol.103 サマー・マッドネス/クール・アンド・ザ・ギャング

黄昏ミュージックvol.103 サマー・マッドネス/クール・アンド・ザ・ギャング
こうも猛暑が続くと、ファンクやブルースなど熱を帯びた楽曲の選曲は筆者の中でNGとなる。
レゲエやラテン、アフリカンなどは当然多くなるが、それではあまりに芸がない。
そこで、BPMが二桁台の緩いファンクで、フュージョン、AOR、ディスコよりのものが多くなる。
可能ならば上音はストリングス系の音が全体を包み、エレキピアノがキラキラし、アナログシンセのロングトーンが優雅に主旋律を歌う。
うむ……、実に曖昧な表現だ。
ならば、この楽曲を聴いてもらう方が早い。
インストながら74年に全米トップ30以内に入った、一般性も兼ね揃えたクール・アンド・ザ・ギャングのヒットチューン。
前述に加え、前半のオーセンティックなジャズギターが先導し、この曲の主人公、ロナルド・ベルの手によるメロトロンの優雅な衣を纏い出すと、さらにムーグの大胆さではなく、繊細さを優先したアープのシンセサイザー(ARP2600)が自由に歌い出す。特にDJ・ジャジー・ジェフ・アンド・ザ・フレッシュ・プリンスの「サマータイム」でも印象的にサンプシングされている、F♯3からF♯7への4オクターブの上昇音は“快楽”と云っても大袈裟ではない程に脳のリビドーを満たすに値する歴史的フレーズなのだ(se)