
黄昏ミュージックvol.100 ダニー・ボーイ/ダニー・ウッズ

黄昏ミュージックvol.100 ダニー・ボーイ/ダニー・ウッズ
2025年春アニメの中、早々に全5話で終了した「未ル わたしのみらい」の第3話は非常に興味湧く主題“芸術表現の「人力vsAI(サイバネ義手)」”で、しかも主人公アメがピアニストということもあり集中し視聴した。
この興味深いストーリーを通奏低音のように貫く楽曲が、今回フォーカスする「ダニー・ボーイ」(『ロンドンデリーの歌』と同旋律)。 北アイルランドでは事実上の国歌としての扱いを受ける程、著名な曲である。この有名曲を一大ソウルバラードに仕上げたのが、プレ・モータウン・シンガー、ジャッキー・ウィルソン。
その後、そのモータウンが産んだ最大のヒットメーカー、H-D-H(エディー・ホランド、ブライアン・ホランド、ラモン・ドジャー)が独立し、レーベル、ホット・ワックス/インヴィクタスを立ち上げた。このレーベルの特徴として、本家モータウンよりサウンド、ボーカルなどよりドープな深度を求めたことであろう。
所属のチェアメン・オブ・ザ・ボートの中心人物、ダニー・ウッズ唯一のソロ名義のアルバムに納められた本作は、本家ジャッキー・ウィルソンを最大限にリスペクトしつつ、それを超えたと云っても過言ではない一世一代の歌唱はただただ圧倒される。
ファンク時代に突入した72年の音源らしく、リズム隊の強固さもモータウン・サウンドよりストロングで、ダニー・ウッズの声を別次元へと押し上げる大きな要因となっている(se)