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黄昏ミュージックvol.10 2  風/冬木透

黄昏ミュージックvol.10 2  風/冬木透

 音楽の初期衝動は「洋楽だ」なんて高度な耳を少年期持ち合わせてなく、当然、FENなるものの存在も知らなかった。それ以前にラジオ文化はTVにとって変わられ、音楽の情報はかぶり付くように見ていたTVの特撮ドラマ、アニメ、CMからのものがほとんどだった。
 “三つ子の魂百まで”とはよく言ったもので、当時知った楽曲は今でも空で歌えるものが多い。
 上記ジャンルと並んで父親からの影響か?時代劇の主題歌も同時に好きなものが多かった。
 そんな中、途中からまるでメロディーが取れなくなる楽曲が本項の「風」だ。
 再発でその記憶をただることになり、記憶喪失の原因を知るのだが、当時の筆者には追いきれない急激なコードの転調がその原因だった。
 アニメの挿入歌としてシューマンやスベリウスなどを使用する冬木透なら、当然ありうる曲調だがその頃の地方少年には到底持ち合わせない感覚だった。
 天保年間、混迷極める江戸を、主人公、風の新十郎(栗塚旭)が事件を追う。モノクロ映像のクールネスをさらに後押しする隠れた名曲だ。(se)