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黄昏ミュージックvol.27 オクトーバー・イン・ザ・レイルロード・アース/ジャック・ケルアック & スティーブ・アレン

黄昏ミュージックvol.27 オクトーバー・イン・ザ・レイルロード・アース/ジャック・ケルアック & スティーブ・アレン

 晩春にとあるイベントでDJをすることとなり、昨今、ポエトリーリーディングやダブポエット、スポークンワード系の音源掘りを時間が出来るとやっている。要はその手のアーティストを大勢集めたイベントからのオファーということである。
 筆者がDJをする時にいつも意識するのは、“ジャンルレスである”ということ。1ジャンルの重箱の隅をつつくようなことが窮屈でたまらない性分なのだ。
 だから、近頃、皆がよくやる、「○○しばり」なんて企画には絶対に参加しない(苦笑)
 さて、そんな経緯でとある黄昏ミュージックに行き着いた。アーティストはポエトリーリーディング第一世代と云ってもいいビートニクのトップランナー、ジャック・ケルアック。
 作家にしては比較的音源を多く残している人ではあるが、3枚の作品をまとめたこの音源は非常にお買い得且つ便利な1枚だ。
 ケルアックのリーディングに並走するのは、この時代らしく主にジャズミュージシャン達で、本作はジャズピアニストと呼ぶにはあまりに多くの顔をもつ元祖マルチタレント、スティーブ・アレンがリリカルなピアノのトーンでケルアックの声紋に潜む湿りを更に引き立たせ極上の音世界に作り上げている。
 〜50年代、夕暮れ時のニューヨークの裏通り、売れない詩人が自室でサンフランシスコを回想したリーディングをしている。同じアパートメントからはこちらも売れないピアニストが半分諦め気分で鍵盤をつま弾いている。やがて夕日が落ち、夜の帳が下がる頃にはその安アパートは無音となり、2人はダウンタウンに憂さ晴らしに出かける。そう、いつもの乱次期騒ぎの始まりだ〜(se)