黄昏ミュージックvol.39 イン・ザ・ビギニング/ドーン・ギブソン
黄昏ミュージックvol.39 イン・ザ・ビギニング/ドーン・ギブソン
寄る年波か?記憶の方が確実に衰えてきた。
以前、アナログ盤中心でDJをやる時は、盤面にシールなどを貼込み、即座に曲を選別する工夫はしてきたものだが、昨今、デジタル音源で生がけをやることの方が多くなり、楽曲やアーティスト名に自分だけが分かる備考を直接書き込むことで同様の効果を生んでいる。要はタグ付けしている訳だ。
昨今、ヘヴィーローテの(といってもデビューは2013年)アーティストにドーン・ギブソンがいるのだが、彼の音源に対する筆者のタグは、“カントリー+音響”。ここで云う音響とはシカゴ系等のそれではなく、音深度すなわちダヴィーだったりリバーヴィーな音質を筆者的には指す。
と言いながらも、普通に、“カントリー+音響”と目にしたら、漠然と、「敬愛するダニエル・ラノワの系譜かな?」などと画一的に思ってしまう自分にいるのだが、ドーン・ギブソンのそれは単にリバーヴィーなだけでなく、影響を受けたアーティスにダブステップ界のアイコン、ブリアルと具体的に挙げる程、コラージュ感覚溢れる楽曲が揃う。
ドーン・ギブソンは土着と前衛を必用に反復する。彼のそれの創作性は、過去多くある面白さのみを狙ったアンビバレントな音群とは違い、希有なキャリア、元トラックドライバーとして見た日常を身体感覚で紡ぐものであり、魅力溢れる太いバリトンヴォーカル同様、強く生命力溢れるものである(se)