黄昏ミュージックvol.42 ナディア/ニティン・ソウホニー
黄昏ミュージックvol.42 ナディア/ニティン・ソウホニー
古くから、西洋音楽は表現に行き詰まると、アフリカや東洋にそのソースを求め、巨大な吸収スポンジがポップスと云う名化しているのが今の姿だ。
それはクラッシック音楽とカテゴライズされる楽曲も同様で、”ここでないどこか”、ストレンジたるその秘境を求め強引に東欧に擬えたりもした過去もある。
20世紀のロック畑では、ラビ・シャンカールの影響下、インド音楽に傾倒した楽曲が70年代多く見受けられたが、80年代中盤辺りのワールドミュージック趨勢から、コンポーザー達は世界中の音楽を貪欲に探し漁りロックでなければなんでもいいポスト世代の音群を多数生んだ。
そんな中でルーツをインドに持つイギリス人クリエーター、ニティン・ソウホニーが極上に美しい曲を1999年に世に出した。
『ナディア』。当時最先端なリディム、ドラムンベースを最大限に生かし、そこから浮かび上がる広大な大地を見下ろしながら楕円を描き浮遊する羽同様な無重力なスワリ・ネティカーのヴォイス。これこそ、“身体に染み込む音”だと、この際言い切ってしまおう。
因みにジェフ・ベックのインストカヴァーヴァージョンもまた秀逸。(se)