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黄昏ミュージックvol.37 シュッド・アイ・テイク・ユー・ホーム (インストゥメンタル)/ボビー・オローサ

黄昏ミュージックvol.37 シュッド・アイ・テイク・ユー・ホーム (インストゥメンタル)/ボビー・オローサ

 当たり前のことなのだが、環境が人を育てる。
 自身を振り返っても年上の姉弟が存在したことが、早い段階からの洋楽に対する興味や知識に繋がったことは否定できない。
 さて今回の主人公ボビー・オローサだが、現在は米国西海岸で活躍するものの、その出自は非常に複雑な色合を帯びる人物である。
 北欧フィンランド生まれのオローサの祖父は、ボリビア出身の移民でキューバ音楽をはじめラテン音楽に造詣が深い人物であったとか。
 両親も御託に漏れず、母親はシンガー、父親もジャンゴ・ラインハルトの系譜を踏むジャズ・ギタリスト。しかも、この二人レコードコレクションも非常に豊かなものだったようだ。
 アーリー・ジャズ、ブルース、フォーク、ゴスペル、ドゥーワップ、モータウンサウンドなどの米国ブラックミュージックの根幹はもとより、ブラジル音楽、アフリカ音楽、サルサなど、ワールドワイドな広い視野もほこり、今のオローサの音楽性を形作るにベストな環境だった。
 今回の黄昏ミュージックだが、彼最大の魅力ともいえる場末感たっぷりなスウィートソウルとして仕上がった秀曲『シュッド・アイ・テイク・ユー・ホーム』を敢えてヴォーカルをとっぱらい、コールド・ダイアモンド・アンド・ミンクのタイトなリズムとねばっこいハモンドオルガンをフューチャーした完全インスト音源である。
 インストゆえにトラックとして聴き込む程に、よりオローサの豊かな音楽的ボックボーンがくっきり表質する。
 クルアンビンと並び筆者が今現在好む音質がそこにある(se)