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黄昏ミュージックvol.106 コール・ミー・ザ・ブリーズ/ベス・オートン

黄昏ミュージックvol.106 コール・ミー・ザ・ブリーズ/ベス・オートン

 以前、パーカッショニストが加入している4人編成時の京都のバンド、ドレクスキップのライブを見た時強く感じたことだが、北欧伝統音楽を独自解釈した彼らのアコースティックなインストゥルメンタル曲に、真逆とも思われれるトランシーな成分が多く含まれていることに驚かされた。
 欧米問わず収穫期に生演奏で踊る行為は多くの文化圏で見られるごく普通の事象で、リズムに反復フレーズが多用されれば陶酔状態にも当然なるだろう。
 さて、ベス・オートンの2012年の作品「コール・ミー・ザ・ブリーズ」だが、アコースティック楽器による反復リズムは勿論、歌詞も「私を〇〇と呼んで」とひたすら繰り返す歌は楽曲のポリフォニック性を更に増幅させ緩やかなトランスへと我々を導く。
 思えばそれも当然、ケミカル・ブラザーズの1stアルバムでのゲスト参加で注目を浴び、その後、重鎮バート・ヤンシュとも共演している飛び級のキャリアを眺めればこんな嬉しい効用がある作品を創作するのも当たり前なのだ。(se)