黄昏ミュージックvol.62 ヤクモ・ソウ/ウィル・ヴァン・ホーン
黄昏ミュージックvol.62 ヤクモ・ソウ/ウィル・ヴァン・ホーン
この楽曲が著名になったのは、はやり、2005年のジム・ジャームッシュ監督作品『ブロークン・フラワーズ』が切っ掛けだと思うが、ワールドミュージック全般を広く聴いてきた人達にとってはエチオ・ジャズのパイオニア、ムラトゥ・アスタトゥケはとっくの昔に著名人であり元祖クルアンビンとも云える哀愁の旋律を持つ『ヤクモ・ソウ』も既に名曲の扱いは受けてきた。
それが証拠に過去にもカヴァーが多く存在し、中でもフランスのバンド、セレナイツ・バンドのそれはジャズマナーを守った上質な出来栄えである。それと反し、まさにクルアンビン世代を象徴するヴァージョンが今回紹介するスティールギター奏者ウィル・ヴァン・ホーンのヴァージョンだ。
リバービーなギター単音はまるで和製ハワイアン箱バンのようにいなたさとかっこよさのギリギリを絶妙に彷徨い、ドラム、ベース以外の空間を一人で埋める際の和音の広がりもこれまた魅力。因みに彼はファミリーと云っていい程にクルアンビン近距離のミュージシャンである(se)