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黄昏ミュージックvol.60  新日本紀行のテーマ(『祭りの笛』)/藤原道山:冨田勲

黄昏ミュージックvol.60  新日本紀行のテーマ(『祭りの笛』)/藤原道山:冨田勲

 新年ということで、我が国の土着的名曲を紹介したいと思う。
 昨年の東京五輪閉会式の大詰めの見せ場で使われた冨田勲だが、氏が世界的評価を決定付けたのは、シンセサイザーの多重録音による70年代中期の、『月の光』、『展覧会の絵』辺りからだと思うが、国内ではラジオ、テレビのテーマ曲の作者として既に名声を馳せていた。
 特に今回取り上げる 『新日本紀行のテーマ』(『祭りの笛』は販売ツールに乗せる際に担当ディレクターが便宜的に付けたもの)は1963年から実に18年強も続いた地方風土記的番組のテーマ曲で多くの国民が、『笑点』や『サザエさん』のテーマ曲のように時計代わりに使っていたくらいにある時期まで脳裏に刷り込まれていた名曲である。
 冒頭、ファンファーレ的に使われるホルンが印象的なヴァージョンがあまりに著名だが、その前にリズムを牧歌的に強調したヴァージョンもあり、更に、2005年から放映された『新日本紀行ふたたび〜NHKアーカイブス〜』では、冨田自身の推薦による薩摩琵琶奏者、坂田美子によりヴォーカルヴァージョンが新たに加わり、それぞれ魅力的なものに仕上がっている。
 さて、今回セレクトした人気尺八奏者、藤原道山ヴァージョンだが、番組本編部分に続く藤原のジャズ的アプローチなソロ部分が新たな聞き所となり、長尺(5:02)で楽曲に酔える優れもの。本年のイメージ堅めにに心鎮める瞑想時に是非聴いていただきたい。(se)