黄昏ミュージックvol.47 ターザン・ボーイ/バルティモラ
黄昏ミュージックvol.47 ターザン・ボーイ/バルティモラ
1985年リリースなので実に35年ぶりにその楽曲名及び全容が筆者に執って判明したヒットチューンが先日あった。
ヒットチューンと云うのだから非常に有名な曲なのだが、筆者の中で長年謎に包まれた理由として“ワン・ヒット・ワンダー”(一発屋)という濃い霧に包まれていたのがその原因だった。
イタロディスコの萌芽とも云える楽曲なのだが、本国イタリアではパッとせず、まずはフランスで火が付き、ユーロ圏に飛び火。そして、英語楽曲の狙いどうりイギリスで大ブレークを果たした。その後、アメリカでも大きなセールスを重ね、1年後の1986年に日本をも席巻した。
まあ、ザックリ聴けば、一連の“お手軽ディスコ”に括られてしまう代物だし、ボーカルのジミー・マックシェーンはパーフォーマンスの際は口パクらしく、実際のレコーディング音源は作曲者でキーボード担当のマウリツィオ・バッシの歌唱という説もあるほどのキワモノ感満載のグループ、バルティモラの最初で最後の世界規模のヒットチューンでは、その印象的なタイトルと結びついたリフレイン以外、忘却の彼方に消え去ってしまっても仕方ない。
だが、筆者の脳裏に長年こびりついた早すぎたミレニアル・フープは、楽曲に生命力を与えるには十分で、アメリカではリステリンのテレビCM、映画「ニンジャ・タートルズ3」のサウンドトラックと2度の再生をしているし、実は日本でも、2007年あたりの香取慎吾出演「アサヒ本生ドラフト」のCMで再生したらしいが、長くノーTV生活を送っている筆者には知るよしもなかった。
よく整理できたコンポーズと優れたアレンジは、1995年にエイズで亡くなった主要メンバー、ジミー・マックシェーンの意思を継ぐかのようにゲイ・コミュニティ向け飲料「ゲイフューエル」公式ソングとして今なお力強く生き続けている。(se)