黄昏ミュージックvol.45 真夏の出来事/平山三紀
黄昏ミュージックvol.45 真夏の出来事/平山三紀
ザックリ日本の歌謡曲の源流と云えば、古賀政男と服部良一に行き着くのが普通なのだが、こと舶来語である“ヒットメーカー”と云う称号にふさわしいのは誰だ?と訊かれれば、私は迷わず筒美京平と答える。
その昭和のヒットメーカーが先頃天に召された。
年表を紐解くと初めてその楽曲に触れたのはどうやら幼少時のアニメソング『おれは怪物くんだ』(1968年)と云うことになるらしいが、流石にその時点では筒美京平という作曲家の名前はわたしの脳裏に擦り込まれずにいた。
さらに辿って行くと、同年のメガヒット、いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』、そしてブーム最盛期のGS、オックスの『スワンの涙』と云うことを知る。
70年代になるとその洋楽フレーバー溢れる国産ポップスがいよいよヒットチャートを席巻する。
『また逢う日まで』(尾崎紀世彦)、『さらば恋人』(堺正章)、『17才』(南沙織)、『芽ばえ』(麻丘めぐみ)他多数。
そんな中から衝撃のハスキーヴォイスをひっさげ、楽曲との最上の互換性で登場したのが平山三紀だ。
デビュー曲『ビューティフル・ヨコハマ』で既にその存在を不動のものにしていた平山であったが、続く『真夏の出来事』が大ヒット。ここでお茶の間まで届くヴィーバとなったのだった。
過去のどこか演歌臭漂う和製ポップスとは一線を画すその音楽世界は筆者を一撃でノックアウト。未だ忘れえぬ名曲として記憶にとどめている。
平山と声紋はまるで違うが、当時国民的アイドルであった岡崎友紀との相性も特出していた。
『天使はこうして生まれるの』、『黄色い船』、『私は忘れない』などのヒット曲、さらに彼女主演のソフトコメディードラマ『ママはライバル』の主題歌もそのドラマの軽みを支えるに十分な楽曲だった。
長年お疲れ様でした。そして安らかに。(se)