黄昏ミュージックvol.40 ばくはつ五郎/ザ・ワンダース
黄昏ミュージックvol.40 ばくはつ五郎/ザ・ワンダース
在宅時間が増えている昨今、ネットの無料動画のラインナップに多少変化が見受けられる。
何気に1960〜70年代のジュニア世代へ向けた、黎明期のアニメ、特撮、実写が増えている気がするのだ。
その辺、まさに直撃世代の筆者であるが、流石に全てのあらすじを覚えている訳ではない。
しかし、こと主題歌となると、歌詞も含め細部まで記憶していることに己のことではあるが驚く次第である。
さて、そんな動画群を縦断している時に、とある作曲家を思い出すことになる。小林亜星と並び“CM楽曲の帝王”と称された和田昭治である。
和田は作曲家になる前は、コーラスグループ、デューク・エイセスのセカンド・テナーであり、リーダーとしてもその屋台骨を支えていた。
その後は、「サントリーレッド」、「トリスビール」、「湖池屋ポテトチップス」等、皆一度は耳にしたことがある楽曲を世に送り出し、NHKの人気音楽番組「ステージ101」の歌唱指導、楽曲提供とともに自身も“ワンツーおじさん”の愛称で出演し人気を博していた。
今回、黄昏ミュージックとして取り上げる、和田作品は、1970年TBS系列で放送された「ばくはつ五郎」のオープニング主題歌「ばくはつ五郎」である。同作品は「タイガーマスク」の作画で名高い漫画家辻なおきが講談社「ぼくら」に連載していたもののTVアニメ版なのだが、前述したようにあらすじに関しては、“学園もの”というだけで、筆者の記憶からは完全に消失しているが、跳ねるようなストリングスの前奏に絡むドラムフィルに誘われるままに突然飛び出すペラペラに薄いエレキギターとハモンドオルガンのトーンが耳に飛び込めば、一瞬でその虜になってしまうほどモンド感満載の魅惑の楽曲なのである。
歌唱は和田の秘蔵っ子とも云えるザ・ワンダース。彼等は男性3人組のコーラスグループで、元ザ・タドポールズの栗敏夫、朝紘一に、なんと、元ジミー時田とマウンテンプレイボーイズで、後にレコード大賞歌手となる尾崎紀世彦の3人で構成されていた。
蛇足だがザ・ワンダースは契約会社のテイチク以外ではジ・エコーズ名義で活動しており、冬木透の手による、あの名作主題歌「ウルトラセブン」を唄ったのも実は彼等であった(se)