黄昏ミュージックvol.33 ハリウッド・イン・ハーレム/ピリ・トーマス
黄昏ミュージックvol.33 ハリウッド・イン・ハーレム/ピリ・トーマス
巨大音楽シティーニューヨークで、アフリカ系アメリカ人と並びストリート文化を高度に成長させた存在として“ニューヨリカン”ニューヨーク近郊で育ったプエルトリコ系アメリカ人の存在がある。
彼等は、ブラックミュージック同様、サルサだけに限らずダンスミュージック全般に及ぶ広域な音楽的影響力を有しており、そのアイディンティティー形成には、ギル・スコットヘロン、ジェームズ・M・マクファーソン同等の、詩人、文学者が存在がある。
まずは数奇な運命を歩んだ作家作マイキー・ピニエロの名前が筆頭に上がられる。そして、彼を主人公にした映画『ピニエロ』の音楽を担当した希代の音楽家キップ・ハンラハンのもう一人のアイドルでありニューヨリカンのリビングレジェンドが今回の音源の主人公、詩人作家のピリ・トーマス。
彼のポエットリーディングをフューチャーした『エヴリ・チャイルド・イズ・ボーン・ア・ポエット』はキップのレーベル、アメリカン・クラーヴェからの全くの新作としてリリースされ、コンポーザーとしてのキップのハイクオリティーはもとより、ロビー・アミーン、ミルトン・カルドナ、ジェリー・ゴンザレス、フェルナンド・ソーンダース達手練が作り上げる優雅でありながらも強靭なリズムアンサンブルを配した本作はポエットリーディング音源として他の追従を許さない秀作なのである。
尚、今回黄昏ミュージックとして選んだ『ハリウッド・イン・ハーレム』は、ピリ名義ではあるが完全にキップをフューチャーしたインストルメンタル曲であり、認識をややこしくしていることを最後にお詫びしておく(se)