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黄昏ミュージックvol.30 ウェル・バック・ホーム/ザ・ジャズ・クルセイダーズ

黄昏ミュージックvol.30 ウェル・バック・ホーム/ザ・ジャズ・クルセイダーズ

 DJなる作業をしていると必然的に客出しという業務と向き合うことになる。
 時間帯は区々であるが、家路に付かせることがそのタスクであることに違いはない。
 まあ、ドボルザークの「新世界」よりから『家路』なんて究極のベタ業もあるにはあるが、筆者が頻度高く使用する曲が今回取り上げるザ・クルセイダーズの前身、ザ・ジャズ・クルセイダーズの70年のヒット・インストチューン『ウェル・バック・ホーム』だ(まあ、これもベタと云えばベタではあるが:苦笑)
 多くのアーティストにカバーされる名曲であるが、歌ものの決定版は、グラディス・ナイトが作詞を手がけた71年のモータウン版、ジュニア・ウォーカー&ジ・オール・スターズ名義に尽きるのではないか?(因に本作もモータウン配下のチサレコーズからリリース)
 作曲は当時はバンドのサックスプレイヤーであり、その後ベーシストとして、ジャクソン5の『アイ・ウォント・ユー・バック』やマーヴィン・ゲイの『レッツ・ゲット・イット・オン』等歴史的レコーディングを残したウィルトン・フェルダー。
 名ベーシストの作品らしく、緩やかに大きくうねるベースラインとそれを支える強靭なリズムが、アーシーでねばる純R&B的旋律を気持ち良く泳がせ、心弾む余韻を楽しみながら帰路につける正に客出しのための楽曲。
 タイトルが示す通り、当然、夕方から夜の帳が降りるその時間を感じさせるものでもあり、黄昏要素満載でな作品でもある。(se)