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黄昏ミュージックvol.23 メリー・クリスマス/ナット・キング・コール

黄昏ミュージックvol.23 メリー・クリスマス/ナット・キング・コール

 年齢を重ねるごとに、「時の流れ年々速くなるなきぁ〜」と師走の時期に痛感する。
 この感覚の根元は、当然残り時間との相対性なのだが、「大きなトラブルなく今年も過ごせた」とここでは強がりを敢えて言っておこう。
 どうでもよい枕はこの辺で切り上げて、
 さて、師走特有の選曲ジャンルに“クリスマスソング”という括りがある。
 古今東西、さらにキリスト教圏以外にも存在するクリスマスソングと云われる膨大な音源群故、選曲持ち時間全てをクリスマスソングで埋め尽くすことも容易に出来るが、それではあまりに芸がない。それに、クリスマスソング以外でも、よりクリスマス色を強く出している曲も多々あったりもする。
 キリスト教徒でもない極東の人間が分かったように解析するのは多少憚れるが、要は“教会音楽感”を強調したものが非常にこの時期の夜の街に映える気がするのだ。僅かなリヴァービーな音色であったり、パイプオルガン的な重層感。はたまた銀河的宇宙感などでクリスマスソングでなくともそのニュアンスを演出出来る。故に、疑似クリスマスソングとリアルクリスマスソングを混ぜ合わせるのが筆者の師走の選曲手口なのである。
 さて、そこで肝になるリアルなクリスマスソングだが、ここでの必須要素として、“スムース感”というのが大切だ。年末に頻繁に行われるジャズコーラスのライブなどの、“あれ”のことだ。ディープなゴスペルなどのように引っかかりがない、都会派の歌声、それに羽毛を思わせるストリングスが乗ったらもう言うことはない。そんなクリスマスソングの真打ちが今回紹介するナット・キング・コール。彼の手にかかれば全てのクリスマス・スタンダードは輝きを増すのだが、ここでは敢えておおねたの『メリー・クリスマス』を選んでみた。
 今年も悲喜交々いろいろとありましたが、師走の一時、「バー黄昏」で麗しのゴールデンボイスに乾杯。メリー・クリスマス!(se)