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黄昏ミュージックvol.84  ラブアタック!/キダ・タロー

黄昏ミュージックvol.84  ラブアタック!/キダ・タロー

 全国区とは言わないまでも、西日本全域、老若男女からリスペクトを込めて“アホ”と称された稀代の芸人、坂田利夫が残念ながら年末に逝った。
 関西芸人の性で、彼は自身名義で楽曲「アホの坂田」(作詞:竹本浩三、作編曲:キダ・タロー)を吹込んでいて、後発「ヤマザキ一番!/当時:山崎邦正」の先鞭の様に、「アホ、アホ、アホの坂田」をひたすら連呼するパートと、コメディーNo.1での相方、前田五郎との漫才的掛け合いで構成される特異な様式は、CM、TVテーマ曲で聴く、短時間で脳裏に刷り込まれるキダ・マジックを、ここでも遺憾なく発揮している。
 そのTVテーマ曲で、珍しくキダ・マジックを放棄し、ジャズ系楽曲として“かっこいい”に大きく振ったのが、今回セレクトした「ラブアタック!」だ。
 推測だが、この楽曲が生まれた背景には、前年に始まった「霊感ヤマカン第六感」でのルパン第一シリーズで著名な、正に“かっこいい”ジャズ系楽曲を連発する、「山下毅雄へ対するアンサーソングなのではないか?」などと夢想すると、さらに味わい深く聴くことができる。
 蛇足にはなるが、「霊感ヤマカン第六感」の翌年に、モーグシンセサイザーのロングトーンを主旋律に使用した非常に印象的なTVテーマ曲がある。 「相性診断!あなたと私はピッタンコ」がそれなのだが。
  ここでの「音楽」表記が、どこでどう調べても「大塚善章→キダ・タロー」と連名になっており、読解するならば、「前後期で移行した」と読み取れるのだが、そのモーグシンセサイザーのロングトーンを主旋律した楽曲の作曲者をご存知の読者がいれば、是非お教え願いたい。(se)