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黄昏ミュージックvol.71  二十才の頃/かまやつひろし

黄昏ミュージックvol.71  二十才の頃/かまやつひろし

 今回のカタールW杯は11月開催と変則的で、シーズンから直接本戦へ向かう流れのためどの国も今や野戦病院状態だ。故に選手層の厚みが優越をつけそうな気配である。
 さて優勝予想だが、音楽での互換性を鑑み、南米はブラジル、欧州はフランスと予想してみたい。
 その心は“ボサノヴァ”にある。
 ボサノヴァは1950年代後半にアントニオ・カルロス・ジョビンにより世に広まり、作詞家としてヴィニシウス・ジ・モラエスが傍にいた。その人物が後に、伯仏のボサノヴァの架け橋となる。
 作家として国際的な名声を得る前から外交官だった彼は、フランスへの赴任経験があり、その際にフランシス・レイ、ピエール・バルーなどにボサノヴァを伝授している。
 ポルトガル語とフランス語、この2つの言語はラテン語系のロマンス諸語であるため、フランス語とボサノヴァとの愛称は抜群で、彼の国からも多くの名作が生まれた。
 さて日本だ。
 戦後日本では英米のポピュラー音楽の影響は絶大であるが、長くフランス文化への憧れもあり、全盛期のレストラン「キャンティ」などに集う面々はフレンチ経由のボサノヴァにも当たり前に精通していた。その際たるものが今回レコメンドするムッシュかまやつ作曲、安井かずみ&なかにし礼共同作詞の本作である。この時期としては高度におしゃれなコード進行で、安井、なかにしの二人も歌唱に参加する遊び心も微笑ましい。因みにカヴァー曲として、ムッシュの盟友、井上順夫妻Ver.や今井美樹Ver.もあり、どちらも本家へのリスペクトを強く感じる素敵なVer.だ。三作とも要チェック!(se)