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黄昏ミュージックvol.56 バラ・バラ/レインボウズ

黄昏ミュージックvol.56 バラ・バラ/レインボウズ

 1967年(本国ドイツでは65年)に不思議な洋楽がこの国を一瞬だけだが席巻した。西ドイツ(当時)のロックバンド、レインボウズの『バラ・バラ』がそれだ。
 〜My Baby baby balla balla My Baby baby balla balla My Baby baby balla balla My Baby baby balla balla My Baby baby balla balla Wa wow! balla ballaWa wow…!〜、ただこれだけを繰り返す単純な8ビートマナーな楽曲で、故に当時7歳の筆者にも容易に歌うことができた。
 この時期、小学校の授業が終わりランドセルを置きに一旦帰宅してから、友達と待ち合わせたいつもの校庭のブランコへ行くと、たった一人でブランコに揺れている幼稚園生が必ずいた。その子がブランコの揺れに合わせ必ず口ずさんでいたのが、例の、『バラ・バラ 』で、彼には〜アベビベビ バラバラ〜と聞こえるらしく、そのおかしな発音と異常に大きな歌声を面白がった筆者達は何度も何度も彼にバラ・バラの歌唱を要求し、彼もそれに応えた。子供とは残酷なもので、我々はおかしな幼稚園生をただいじって遊んでいただけなのだが、その子は嬉しそうに何度も反復した。
 2週間も過ぎだろうか?既に“バラバラ”とあだ名が付いたその子の姿が忽然と消えた。それと同時に筆者の脳裏でリピートしていた〜My Baby baby balla balla〜のリフレインも止まり、ラジオからも流れないようになった。あの男の子はその後どうしたのだろうか?家族と共にあの街から離れていってしまったのだろうか?
 尚、この楽曲はザ・スパイダースもカバーしており大野克夫氏のピアノ、ハモンドが冴え渡る勇逸なアレンジ。80年代になるとアルバム『COVERS』の中でRCサクセションも日本語プロテスト・ソングとしてカバー。山口冨士夫、三浦友和などもゲスト参加した豪華布陣となっている。(se)